今日はリクルートの転職情報サイト「リクナビNEXT」の「相性転職★相談カウンター」という、個別転職相談に行ってきた。
浜松町(大門)の下品な青色で塗られた、バブル時代に建てられたようなオフィスビル。
入り口の小さな庭は、タバコを吸う人たちの煙でモクモクだ。
モクモクガーデンだ。
灰は庭の小石に擦り付けられ、小石と小石の間に灰がたまっている。
テナントオーナーは、入居しているテナントに注意をしないのだろうか。
ちゃんと管理されていないビルだ。
ビルの1階と2階には、20代のときに就職活動をした、某ヨーロッパ方面
を得意とする、大手ランドオペレーターである「ミキちゃんツーリスト」(仮名)が
入っている。
ここの創業者とは、かつて連れションをした仲である。
残念ながら近年お亡くなりになった。旅行業界の大物であった。
そのころの思い出が蘇る。
ここの社長(=創業者)面接の日の朝、ちょっと腹の調子が悪かったので高輪の船員さんたちが集う「トロール船員保険病院」(仮名)の内科に診察してもらいに行った。
その場で入所。退所日不明。
肝膿瘍(かんのうよう)であった。
病院の廊下にある公衆電話から、「ミキちゃんツーリスト」(仮名)の人事担当に電話した。
「すいません。今日から長期に入院することになりまして、いつ出てくるか
わかりません。これから腹に穴を開けて、そこから腹の中に毎日消毒液を
注いで肝臓をジャブジャブ洗わねばなりません。申し訳ないので面接を
辞退させてください」
先方の女性は「他のところに決まったのですか?」と疑いの声を上げた。
当然だ。
あまり病院で長電話するのもナンなので、さっき突然入院が決まったこと、
本当に申し訳なく残念に思っていることを伝えて電話を切った。
面接用のスーツに病院のスリッパを履いていて、「スーツにスリッパは
似合わねぇなぁ」と呟いたのを思い出す。
あの日に病院に行っていなければ、今頃この下品な色で1Fの庭が汚いビルの中で
働いていたかもしれない。
そう思うと感慨深い。
さて、そのビルの9階にあるリクルートである。すでにアドバイザーに面談の
予約は取ってある。
殆ど書類審査を通過せず、面接までたどり着けない。
軽く年齢の数字分くらいは負けている
何か職務経歴書の書き方に問題があるのではないか。だからアドバイスを
してもらいたい、といったことが相談内容だ。
今日は職務経歴書と、「リクナビNEXT」で応募のときに過去に企業に送った自己PRなどのメッセージをプリントアウトして持ってきた。
30代男性の清潔感溢れるカウンセラーは、じぃ~っと職務経歴書を
眺めつつ、過去の退職理由を問うた。
これにはつつがなく答えられた。完璧だ。
カウンセラーは言った。
この職務経歴書に、私がアドバイスすることは何もありません。
たくさんの職歴がありますが、よくまとまっていると思います。
これだけちゃんと書いている人はなかなかいません。
せっかく来ていただいたのに、アドバイスできずに
申し訳ありません。
むふー。
ちょっと嬉しい。褒められた。
続けて彼は言った。
恐らく年齢と転職回数で、デジタルで「何歳まで」「何回まで」といった
感じで、中身までよく見ないままNGを出してしまう企業さんが
多かったんだと思います。
そうか。
じゃぁしょうがない。そんなの企業の担当者じゃないとわからない。
書類の中身じゃなかった、ということがわかっただけで、収穫があった。
とにかく数多くコツコツ応募して、とにかく数を稼ぎます、と答えて
リクルートを出た。
数を稼ごう。